3月5日(土)カリブ海にあるセントビンセント及びグレナディーン諸島、通称セントビンセント・グレナディーンズ(SVG)のアーノスヴェール競技場にて、ラグビーワールドカップ2019日本大会予選の開幕戦(SVG対ジャマイカ)が行われた。予選の第1戦でレフリーを務めたのはRWC 2015イングランド大会の決勝戦で笛を吹いたウェールズ出身のナイジェル・オーウェンス氏。

キャプテンかつスタンドオフを務めたヒューバート・トーマス選手の素晴らしいトライと熱いパフォーマンスに加え、優勢なフォワード陣を発揮したジャマイカは48-0というスコアで圧勝し第1戦を白星で飾った。SVGにとってこの試合は敗れたものの、ホイッスルが鳴るまで奮闘したチームの情熱は、マイク・ジャクソン監督にとって誇りの源となったに違いない。

チーム合計7トライで勝利を飾った試合後は歓喜に浸っていた。ベテラン選手のトーマスは「最高の気分だ、本当に素晴らしい。今日のスクラムはびっくりするほど良く、そのおかげでバックスは容易にペースをつかみ、空いているスペースを上手く利用して押し込むことができた。16年間ジャマイカチームでプレーをしてきたが、今日のスクラムが今までで一番良かったと思う」と試合を振り返った。

トーマスキャプテンはさらに「これからジャマイカに戻ってトレーニングを重ね、ラグビーワールドカップ2019日本大会出場を目指す。次のステージを通過するにはまだまだやらなければならない事があるが、本プロセスで行けるところまで進みたい。チームのメンバーは皆自分の才能を信じているし目標を達成できる自信は十分ある」と意気込みを語った。

セントビンセントに集まった記録破りの観衆

SVGファン1,000人以上の前で見事トライを挙げたトーマスに加え、スティーブ・ミラー(フランカー)、エリック・グローブス(フランカー)、オリアン・スミス(プロップ)、レイナード・リチャーズ(センター)、クリスダン・グレイソン(ナンバーエイト)、そして試合終了間際にゴールラインを超えたシェイマー・クレアリー(ウィング)による多数のトライがジャマイカを勝利へ導いた。

ジャマイカ代表が狙い通りラグビーワールドカップ2019日本大会の出場権を獲得するかどうかは今後のプレーによって決まる。ここで重要な点はジャマイカとSVGが共に出場するチャンスがあったということだ。すなわち、ワールドラグビーのフルメンバーである協会のどれもが最高峰のレベルでプレーすることを目指すことができるのだ。

目標達成まではまだ少しの道のりがあるものの、ワールドラグビー世界ランキングで6ランク上り、カリブ海の国の代表チームにとって史上最高の72位に浮上したジャマイカは胸を張ってキングストンに帰国することができる。一方SVGは3ランク落ちで世界ランキング85位となった。

SVGのアンドリュー・フィリップス主将は「我々は努力を積んできたチームとして、自分たちの成績を誇りに思っている。まだまだやることはいっぱいあるのでこれからもピッチでハードな練習に立ち向かうことは確かだ。ジャマイカ戦ではすべてを出し切ったので心残りはない」と前向きな態度を示した。


『Get Into Rugby』企画

フィリップス主将はさらに「セントビンセント・グレナディーンズでも行われているワールドラグビーの『Get Into Rugby』プログラムは若者たちをインスパイアし、競技に関心を持ってもらうことを目的としている。自分は中学校で初めてラグビーに出会ったが、今では小学校にも導入されている。より多くの子供たちに小学校を通してラグビーをさらに拡大していきたいと思っている」とコメントした。

RWC 2019日本大会のオープニングセレモニーまではまだ残り3年半あるが、予選プロセスは幕を開けた。RWC2019日本大会の予選プロセスは現在90カ国以上の国を対象とし、ブラジル、ロシア、インド、中国、そして米国、メキシコを含む6大陸から3,000人を超える選手達によって、およそ200試合にわたり行われる。

RWC2015年イングランド大会プール戦でそれぞれプールのトップ3となった計12チームはすでにRWC 2019 日本大会の出場権を獲得している。残りの8チームは各地区予選大会とプレーオフを含む予選プロセスによって決められる。また今大会初となる、独立した敗者復活最終予選(総当たり戦)によって最後の出場チームが決定され、2018年11月にはすべての出場チームが発表される。​