夏の陽射しの下、チケット完売で盛り上がりを見せた初のパース大会は男女ともに歴史的な勝利でフィナーレとなった。

HBFパックで行われた女子決勝でアイルランドが開催国で今季SVNSシリーズで首位に立つオーストラリアと対戦し、19-14の勝利を収めて初優勝を手にした。

アイルランド女子のAlan Temple-Jones監督はチームの快挙に、「オーストラリアでオーストラリアと対戦するのは選手たちにとって信じられない機会で、うれしくて言葉が出ない。この2週間、いいフォーカスで準備してきて、ドバイとケープタウンを経て多くの点を改善してきていたが…。信じられない…」と感無量の様子だ。

過去の通算対戦成績1-30敗と大きく水をあけられたアイルランドは、開始早々に地元ファンの大声援を受けるオーストラリアのCharlotte Caslickにトライを許し、コンバージョンも決まって7-0と先制された。

しかし、プールCを2勝1敗の2位で突破すると、準々決勝でフィジーに14-12と競り勝ち、準決勝で英国を31-7で下して勝ち上がってきたアイルランドは積極的に試合を展開。ハーフウェイライン付近でパスを受けたAmee Leigh Murphy Croweが独走。ゴールまで走り切ってトライを決め、Lucy Mulhallのコンバージョンで同点に追いついた。

さらに、前半残り時間2分にオーストラリアのCaslickがイエローカードを受けて数的不利になると、アイルランドはペナルティから展開してMulhallがトライを奪い、均衡を破る。前半に2回あった22メートル内へのチャンスをしっかりモノにして、前半を14-7で折り返した。

後半早々、7人に戻ったオーストラリアが反撃。Teagan Leviが相手のタックルをすり抜けてトライを決め、自らコンバージョンも成功させて再び14-14のタイスコアに持ち込んだ。

だが、アイルランドは後半終盤、22メートルライン付近で得たペナルティからEve Higginsが持ち込み、ステップで相手をかわしてトライ。残り時間30秒ほどで19-14として勝利を決めた。

アイルランド女子のMulhallキャプテンは、「やっと実現した。長い時間がかかったが、アイルランド女子ラグビーにとってこの勝利はとても大きい意味がある。もちろん、お祝いする」と話した。

女子3位にはアメリカに24-10と勝利した英国が入り、5位はフランスに14-10と競り勝ったニュージーランド、7位はカナダがフィジーに26-5で勝利し、9位はブラジルが南アフリカを7-0で押さえて勝利した。11位は日本でスペインに33-5で勝利した。

アイルランドに敗れて準優勝となったオーストラリアだが、総合順位では3ラウンド中2ラウンドを制して勝ち点58でトップを維持し、2位のニュージーランドに12差をつけている。3位はフランスで勝ち点44、アイルランドは今回の優勝で勝ち点を38に伸ばして4位に浮上した。

 

サクラセブンズ、スペイン戦勝利で11位

 今季初戦のドバイ大会で9位、翌週のケープタウン大会は10位で、パースでの今大会で上位浮上を目指したサクラセブンズ女子7人制日本代表だったが、11位だった。

プールCでニュージーランドに5-29、アメリカに5-33、アイルランドに7-26と3連敗で4位となり、9位決定準決勝に進んだ日本は、ブラジルと対戦して17-21で惜敗。11位決定戦へまわった。

ブラジル戦では平野優芽と大谷芽生のトライで前半を10-0と折り返したが、後半に入ってブラジルが反撃。

開始早々にBianca Silvaの トライとRaquel Kochhannのコンバージョンで3点差に迫られる。

水谷咲良のトライと須田倫代のコンバージョンで一度は17-7とリードを広げたが、粘るブラジルはGabriela Limaがトライを決めて、Luiza Camposがコンバージョンを成功させて再び3点差に追い上げる。そして、試合終了目前に、Yasmin Soaresがラインを超えて、Kochhannが2点を加えて逆転。日本は今大会初の白星を逃し、11位決定戦へ回った。

スペインとの対戦となった11位決定戦では、日本は立ち上がりから勢いのあるプレーで攻撃を展開。平野、須田と連続トライでリードを奪う。その直後に相手にイエローカードが出たこともあって、数的優位を得た日本は攻撃を加速。堤ほの花と、水谷がさらに5点ずつを加え、須田が3本目のコンバージョンを成功させて前半で26-0のリードを奪った。

後半早々にスペインがAnne Fernandez de Corresのトライで5点を返して食い下がったが、日本の優位は動かず、試合終盤に堤のトライと内海春菜子のコンバージョンで7点を加えて33-5で勝利した。

平野は、「アタックの時間が少なく、チームとしても良い局面を作ることができなかった」と振り返り、「数少ないトライチャンスで取り切ること、少ないフェーズでボールを取り返すことができるように修正したい」と課題を挙げた。

堤は「思い描いていたラグビーを体現できず、世界との成長の差を感じた。チーム全体で見つめ直して、成長し続けられるように変化したい」と話した。

 

男子決勝でアルゼンチンがオーストラリアに勝利

 今シーズン、初戦のドバイ大会こそ2位スタートだったものの、第2ラウンドのケープタウン大会を制して好調ぶりを示していたアルゼンチンが、パースでも勢いと力を発揮。オーストラリアに31-5の勝利で優勝した。

プールAを3戦全勝で突破し、準々決勝でスペインに28-17、準決勝でアイルランドに24-5と勝利して決勝に駒を進めた。

売り切れで地元ファンの声援を受けるオーストラリアが相手という一戦で、しかし、試合開始早々にオーストラリアはNathan Lawsonにイエローカードが出て数的不利の展開になる。アルゼンチンは直後にMarcos Monetaがトライを奪い、Joaquin Pellandiniがコンバージョンを成功させて7-0のリードを奪う。

オーストラリアはプールBで1勝2敗の3位で通過後、準々決勝でアメリカに31-7、準決勝でフィジーに22-7で勝って決勝へ進出。立ち上がりの数的不利はあったものの、粘りを見せ、アルゼンチンはそれ以上の加点はできずに前半を折り返す。

後半も接戦が続いたが、12分にGerman Schulz、13分にMatteo Graziano、さらに16分にMonetaがこの日2本目のトライを立て続けに決めて一気に31-0のリードを奪った。

オーストラリアは試合終盤、Mathew Gonzalezがトライを決めて5点を返したが、そこまでだった。

3位はアイルランドで、オリンピック金メダリストのフィジーに24-7で勝利。5位はフランスに24-5で勝った南アフリカで、7位はスペインを27-12で下したアメリカ、9位はサモアに21-14と競り勝ったニュージーランド、11位はカナダに17-5で勝った英国だった。

この結果、初戦のドバイ大会で2位発進だったアルゼンチンは2大会連続優勝で勝ち点を58に伸ばして首位。地元大会で優勝を逃したオーストラリアはフィジーと勝ち点44でアルゼンチンを追従。3位に入ったアイルランドは勝ち点を42に伸ばし、南アフリカと並んで上位陣に迫っている。

次の第4ラウンドはカナダのバンクーバーで2月23-25日に開催され、3月1-3日にはロサンゼルスで第5ラウンドが行われる。