大阪のヨドコウ桜スタジアムが歓喜に沸いた。男子8チーム、女子7チームが出場したアジア予選の最終日、ホームのファンの“ジャパン”コールの声援を受けて、開催国の日本代表が男女揃って大会を制し、来年夏のパリ・オリンピックへの出場を決めた。サクラセブンズ女子日本代表は中国に21-14、男子日本代表はホンコン・チャイナに21-14で勝利した。

 「勝つことができてほっとしている。試合が終わるまでハードワークし続けたチームメイトを誇りに思う」とサクラセブンズの平野優芽主将は言った。

サクラセブンズにとっては、今年9月のアジア競技大会の決勝で敗れていた相手との対戦。「厳しい戦いになる」(平野主将)という予想通り、日本は中国のYang Feifei選手に先制を許す苦しい立ち上がりとなったが、大谷芽生選手や須田倫代選手ら低く鋭いタックルで相手を止め、中国チームのトライゲッター、Chan Keyi選手を自由にさせなかった。

日本は前半4分、自陣深い位置でのスクラムからパスを受けた大谷選手が抜け出して走り抜いて5点を返すと、2分後には敵陣でのスクラムを起点に再び大谷選手が相手のギャップをついて2連続トライ。須田選手のコンバージョンも成功して14-7で折り返し、後半3分にも平野選手が5点を加えて21-7とした。

 アジア競技大会決勝で日本に競り勝っていた中国は、後半5分にYangがこの試合2本目のトライを決めたが、ホームのファンの大声援を受けて、日本が中国の反撃をしのいで21-14で勝利し、念願の切符を手にした。

 試合後、平野主将は「一つひとつを丁寧にプレーすることと、勝ちたい気持ちが強い方が勝つとチームで話していた。ホームの声援が後押ししてくれた」と振り返り、「これでようやくパリでメダルを獲るためにスタートできる」と笑顔を見せた。

女子3位はホンコン・チャイナ

なお、3位決定戦では、ホンコン・チャイナがタイに12-0で競り勝って、2位の中国とともに世界最終予選に進むことになった。

 ホンコン・チャイナはタフでハードに戦うタイと激しいボールの奪い合いになり、前半半ばには相手にブレークを許しゴール直前まで持ち込まれる場面もあったが、直前でタックルで阻止すると、前半終了目前にChong Ka Yan選手のトライでようやく先制した。後半に入ると3分にStephanie Chan選手がチーム2本目のトライを決めてリードを広げ、後半半ば過ぎにJessica Ho選手にイエローカードが出て数的不利になったが、最後まで相手に得点を許さずに勝利した。

 

女子準決勝

女子の準決勝第1試合では、プールDを1位突破したサクラセブンズ女子日本代表がホンコン・チャイナに33-5で勝利して、決勝へ進んだ。

 大谷芽生選手がハードで的確なタックルで相手を止め、開始2分での先制トライを含めて前後半で1トライずつをマーク。前半にはサイド突破から原わか花選手、スクラムから平野優芽選手が持ち出して5点ずつを加えた。

26-0リードで迎えた後半終盤にホンコン・チャイナはChong Ka Yan選手が1トライを返したが、日本は試合終了間際にもダメ押しの1トライを加えて突き放した。

女子準決勝のもう1試合では、プールE1位通過の中国がプールDを2位で突破したタイに苦戦しながらも29-5で逆転勝ちした。

中国はタイの粘り強いディフェンスに手を焼き、Nuntadchapom Yodya選手に先制を許したが、推進力のあるChen Keyi選手が前半で2トライを決めて逆転に成功。後半にもGu Yaoyao選手のトライとChen選手の3本目のトライで突き放した。

男子日本は終了間際のトライで勝利、3位は中国

 男子7人制日本代表が終了間際の丸尾崇真選手のトライでホンコン・チャイナを振り切って、オリンピック出場権を手にした。

 開始早々、日本は自陣から攻撃を仕掛けたところでボールをこぼし、それをLiam Dohertyが拾ってトライに持ち込まれ先制を許した。その2分後に、日本は石田大河選手が相手二人のタックルをかわしてトライを決めて同点としたが、ホンコン・チャイナはキックを活かして攻め込み、Liam Herbertがこれを押さえて再びリードを奪った。

 後半に入ると相手のペナルティが増え、日本はペナルティを起点に攻撃を展開して後半6分に谷中樹平選手がギャップを突いてトライをマーク。コンバージョンも成功して14-14と追いついた。

スタジアムに駆け付けたホームのファンから“ニッポン”コールが起こるなか、日本はペナルティを獲得。丸尾選手へボールをつなぐと、丸尾選手は相手のタックルを受けて倒れながら頭上に手を伸ばしてタッチダウン。TMOでトライが確認され、林大成選手のコンバージョンも決まって日本が21-14で競り勝ち、優勝した。

3位決定戦では中国が勝利。前半途中でイエローカードを受けて数的不利になったUAEに36-0と快勝。中国はShan Changshun選手がペナルティトライを含めて3本のトライを決めるなどの活躍で、世界最終予選出場を決めた。

 男子日本チームの林キャプテンは「初めてホームでの国際大会で出場権を決める大会で、ワクワクと不安を持って臨んだが、この2日の頑張りだけでなく、これまでいい準備があってここまでできた。アジアシリーズなど負けもあったが、その度に成長することができた。これからパリ・オリンピックへ向けてやっていきたい」と力強く語った。

男子準決勝

男子準決勝では、プールAを首位で突破した日本がプールB2位通過のUAEと対戦して21-5で勝利し、決勝へ進んだ。

日本は前半2分過ぎにケレビ・ジョシュア選手のトライで先制したが、ペナルティが多くて波に乗れず、前半終了間際にUAEのBlair Cochrane選手にトライを決められて前半を7-5で折り返した。後半4分、右サイド大外でパスを受けた石田大河選手がインゴールまで持ち込んでトライ。さらに終了間際には、吉澤太一選手が5点を加えてUAEを突き放した。

もう1試合ではホンコン・チャイナが中国との接戦を19-12で制した。

ホンコン・チャイナは試合開始のキックオフをキャッチしたMax Denmark選手がそのままゴールまで走り抜けて先制したが、その後中国がShan Changshun選手とZheng Zhiyuan選手の連続トライで逆転した。

7点ビハインドで迎えた後半3分、ホンコン・チャイナはDenmark選手が抜け出してゴールに迫ると、フォローしていたLee Cado選手につないでトライをお膳立て。コンバージョンも決まって12-12の同点にした。Denmark選手はその2分後、スクラムからパスを受けてゴールへ持ち込み、ホンコン・チャイナが19-12で勝利した。