前節サモア戦での勝利で来季アジアチームのWXV2残留を確定させた日本は、首位のイタリアと同勝点で優勝を狙うスコットランドと対戦。前後半で表情の違う試合となった。

日本は試合開始7分でキャプテンの長田いろは選手が先制トライを決めると、その後も相手陣内でのゴール目前に迫る展開に持ち込み、前半は敵陣に相手を押し込む時間が長く続いた。

だが22メートル内に入っても相手の好守に追加点を奪うことができず、前半終盤にスコットランドが攻め込むと、プレッシャーを受けて日本に反則が増えて、前半終了目前にはペナルティトライを献上。PR加藤幸子がイエローカードで後半開始からシンビンとなった。

後半、情勢は一転し、スコットランドは55分にCoreen Grantにトライを決めると、Lana Skeldon、Sarah Bonarが66分までに次々と5点を加えて33-7と一気にリードを広げた。

日本は攻撃に転じても、スコットランドの守備に焦れてキックで打開を試みては相手の逆襲を許し、疲れも見えて後半は無得点。一方のスコットランドはミスもペナルティも少なく、攻守に統率の取れたパフォーマンスで後半は地力の差を示して、試合終了間際にもCTB Emma Orrがこの日2本目のトライを決めて3戦全勝とした。日本は1勝2敗となった。

今大会初出場だったSH津久井萌は、「前半は(相手の)裏のスペースへのキックを友好的に使って日本らしいボールを動かすラグビーができた」と手ごたえを覚えた一方で、「後半は相手のディフェンスを崩すことができず、相手の得意なセットプレーからできた流れを変えられなかった」と反省点を口にした。

キャプテンの長田は、自身の先制トライでチームに勢いを与えたが、「トライを取り切るところや我慢してアタックすることは練習から意識してやってきたが、相手の守備のプレッシャーや、自分たちの(プレーに)ディテールがすこし足りなかった」と残念がった。

日本チームを率いるレスリー・マッケンジーヘッドコーチは、「前半、自分たちの可能性をよく出してエキサイティングに戦えていたからこそ、それがスコアに反映されずに、もどかしさもあった。だが、選手たちは持っているものすべてを出して、よくやってくれたし、努力と個性は十分見せてくれた」と選手たちを労った。

「前半、自分たちに何ができるかを表したが、後半は足りないものがあることで何ができないかを示したものになった。それは経験不足だけでなく、それ以外のものもある」とコメント。2019年秋のアウェイでのスコットランド戦との違いに言及した。

「スコットランドは2シーズン前とは違うチームになっていて、選手たちは完全にプロ契約をしていて、毎日一緒に練習できているので、今日のような結果を出せるリソースをしっかり持っている。また、このレベルで達成するにはそういうことが必要だということも感じた」

 スコットランドはこの勝利でボーナスポイントも手にして勝点は15。得失点差も55としてイタリアを24ポイント上回り、優勝争いライバルのイタリアの最終戦を待った。

 また、27日の第2試合では、ホスト国の南アフリカがサモアに33-7で勝って今大会初勝利。最終戦で5トライを挙げてボーナスポイントも獲得し、来季WXV2へのアフリカチーム残留を決めた。

 南アフリカのSOのLibbie Janse van Rensburgがハットトリックをマーク、コンバージョン4本も成功させて23得点を叩きだし、NO8 Catha JacobsとFL Lusanda Dumkeが1トライずつを決めた。サモアは前半で0-26とリードを許し、後半には途中出場のLulu Leutaが66分にイエローカードを受けて数的不利に。それでもその6分後にFL Sui Pauaraisaがトライを決めたが、終盤にVan Rensburgに3度目のトライを許した。

サモアは3戦全敗で勝点1の成績で最下位となり、来季オセアニアはWXV3でプレーすることになる。

 

WXV1、ニュージーランド、オーストラリアが初勝利

 ニュージーランドで開催されているWXV1は第2節。27日にイングランドがカナダを45-12で下し、ボーナスポイントも加えて勝点を10に伸ばして首位をキープ。28日にはニュージーランドとオーストラリアがそれぞれ今大会初勝利を得た。

ニュージーランドはウェールズに70-7と圧勝。WTB Ruby Tuiが前半だけで4トライをマーク。WTB Mererangi Paulも先制トライを含めてハットトリックを達成するなど、ニュージーランドが12トライを奪う猛攻を披露した。

 オーストラリアもフランスに29-20と競り勝って初白星。PR Eva Karpani とCTB Georgina Friedrichsのトライなどで前半を12-10で折り返すと、ハーフタイム後にもKarpaniが51分と70分にトライを決めてハットトリック。SO Carys Dallingerがコンバージョンを2本決めて、CTB Arabella McKenzieも1PGとコンバージョンで加点した。

 この結果、WXV1では2勝のイングランドが勝点10でトップを維持。初勝利のニュージーランドとオーストラリアを含めてカナダとフランスが1勝1敗で並んだが、ニュージーランドが勝点6、カナダとオーストラリアが勝点5、フランスが勝点4で続き、2敗のウェールズは勝点なしで6位となった。

 WXV1は11月3-4日に最終節を迎える。オーストラリアとウェールズが3日に、フランスとカナダ、イングランドとニュージーランドが4日の最終戦で対戦する。