色褪せない記憶

リールでルーマニア相手に45-24で勝利したトンガ代表が、ラグビーワールドカップの敗退を惜しみながら集まった際、選手の子供たちがスタッド・ピエール・モーロイの緑豊かな芝生の上を走り回っていたのは楽しい光景で、この大会の家族的な一面を見事に表現していた。

大会1のトライ

スタッド・ド・ニースで、“巨体の”Ben Tameifunaがスコットランドのダークブルージャージの間を突き抜けてトライを決めたとき、「151キロある巨人が来ました!」と試合解説者が叫んだ。巨大なロックのRichie GrayとそのチームメイトKyle Steynが、突進してくるトンガの戦車を両サイドから止めようとしている姿は、まるで急な丘の上から暴走する車を止めようとする人たちのようで、目を見張る光景だった。このトライでTameifunaは、彼のプレーには単なる体格と筋力以上のものがあることを示した。キャプテンのアタックはとてもタイミングがよく、相手のディフェンスを崩壊させるのに完璧な角度だった。

注目のコメント

「ここに参加してくれた選手たちにはとても良い経験をさせることができました。3試合負けたとはいえ、彼らは人生の中で最高の時間を過ごしたと思います。」これはトンガの最終戦でオークスに勝利した後、ヘッドコーチのToutai Kefuが語った言葉だ。

活躍した選手

Solomone Kata。レスター・タイガースに所属しているエネルギッシュな28歳のウィングは、スコットランド相手にトライを決め、同試合でTameifunaのトライにも貢献。また、ルーマニア戦では2トライを決めてチームの得点王となった。

将来が期待される選手

Kyren Taumoefolauに違いない。足の長い20歳のフルバックは、体重が80キロとTameifunaの半分強ほどしかないが、彼は燃えるようなスピードとスタジアムを明るくする笑顔を持っている。トンガのプールB最終戦71分に決めたトライは輝きを放っていた。Taumoefolauが25メートルの距離から走り込んで、角にトライを決めたのは、リールでのラグビーワールドカップデビュー戦で、ピッチに立ってからわずか4分後のことだった。「彼はスピードがあるので、滑空しながら走っているように見えます。」と、試合後に仲間のSalesi Piutau(フルバック)が語り、「彼のキャリアがどうなっていくのかが楽しみです。」と、続けた。

タッチラインから

「(2011年に)クライストチャーチで起こった地震が私のビジネスを崩壊させました。」と、トンガのディフェンスコーチDale MacLeodは、記者に語り、この悲劇がラグビーに転向するきっかけとなったことを伝えた。自動車と船舶の技術者として培ったスキルの新たな使い道を見つけたのだ。

MacLeodは「私は自営業で、12人の従業員を抱えていました。」と話し、その後にこう語った:「彼らとの交流の仕方や、どのように接するかはラグビーチームと何の変わりもありません。よく組織化し、きちんと計画することが重要です。私は昔ボートレースをしていましたが、ラグビーと同じで全てが正しくある必要がありました。ラグビークラブいたとき『ここでフルタイムで働いて欲しい。』と言われました。従業員たちに新しい仕事が見つかってから、私はラグビーに転向しました。私が学んできた全てのことはここで活用できます。」

重要な統計データ

「トップ14、イングランドプレミアシップ、URC、ITMカップ、さらには日本の2部リーグなど、私の選手たちは20以上のプログラムから招集していて、さまざまな場所に選手たちは属しています。アイルランドを見てください、95%の選手は1つのチームから集まっています。」Kefuが言ったことは少し誇張されているが、トンガのコーチにはチームを育て上げる時間がほとんど無いのに対し、アイルランドはチーム内の巨大なレンスターの選手たちから恩恵を受けているのは真実だ。

編集者の評価

トンガは前回王者の南アフリカ、世界ランキング首位のアイルランド、同5位のスコットランドと同じプールに組み分けされていたので、ラグビーワールドカップでは常に不利な立場に置かれていた。PiutauやMalakai Fekitoaのような実力のある選手たちがチームの水準を高めてきたが、ワールドカップ王者Kefuの才覚を活用したにも関わらず、イカレ・タヒのプール戦を突破したことがないという記録を変えることはできなかった。フィジーとサモアは過去にラグビーワールドカップの準々決勝に進出している。このパシフィック・アイランダーズの偉業に加わるというトンガの挑戦はKefuの辞任により、次の新コーチに託された。