男子の今季セブンズシリーズもシンガポール大会で9ラウンド目となり、シリーズ優勝争いと2024年パリ・オリンピック出場権獲得競争が激化する一方で、男子7人制日本にとってはコアチーム残留争いで厳しい状況が続いている。

 シリーズ最終戦は5月20-21日のロンドン大会だが、コアチーム残留を懸けた戦いは、最終戦1つ前のトゥールーズ大会(5月12-14日)までの成績で決まる。トゥールーズ大会終了時にコアチーム最下位は自動降格となり、12位から14位のチームはセブンズチャレンジャーシリーズの勝者とともに、シーズンの最後に残留1枠を懸けたプレーオフに臨む。

日本は昨年9月末から指揮を執るサイモン・エイモーヘッドコーチの下でチームづくりを進めているが、国内シーズンとの兼ね合いなどから招集できる選手の顔ぶれが頻繁に入れ替わり、活動期間に制限も多い。加えて、セブンズ競技に馴染みが薄く、選手たちの経験が浅いという日本特有の事情もある。シリーズの戦いでは接戦を演じながら細かなミスで勝機を逃すなど、苦戦が続いている。

日本の直近30試合での勝敗は4勝26敗。ポイントを稼ぎたかった香港大会では5戦全敗の15位タイで終り、ここまで獲得したポイントは11。コアチーム最下位に沈んでいる。14位のカナダは22ポイントを保持し、13位のケニアも30、12位のウルグアイで33と、残留争いの各チームとは獲得ポイントに開きがある。

 シンガポールではできるだけ多くのポイントを手にして、ライバルとのポイント差を詰めたいところだが、日本がプールDで対戦するのは英国、アルゼンチン、アイルランドという顔ぶれだ。

英国は総合順位では10位だが、先週末の香港大会で今季初のベスト4入りを遂げた。アルゼンチンは3大会連増での表彰台は逃したが、ロサンゼルスでは準優勝し、バンクーバーでは3大会ぶり今季2度目の優勝で、総合2位をキープしている。

また、アイルランドも香港では9位だったが、その前に4大会連続で8強入りしており、ドバイ大会では2位に入るなどで現在総合8位タイに位置している。

日本は香港大会から1週間で臨むなか、心身のリカバリーとプレーの修正がどこまでできるか、対応力が問われる。

激戦のオリンピック出場権争い

 一方、来年のパリ・オリンピック予選を兼ねた戦いがヒートアップしている。

オリンピック出場権は、今季の最終総合順位で開催国フランスを除いた上位4チームに与えられるが、現在シリーズ総合ランクで首位に立つニュージーランドが142ポイントでリード。今回、シンガポール大会で優勝することができれば、パリ行きのチケットを獲得できる。

 総合ランク2位にはアルゼンチン(121ポイント)、3位にフィジー(同113)で、4位フランス(同112)を挟んで南アフリカが101ポイントで5位につけ、それをオーストラリアが2ポイント差で追っている。

 ここ4大会のうち3大会を制しているニュージーランドは、プールAで南アフリカ、オーストラリア、香港チャイナと同組。プールBにはフィジー、香港大会で10ポイントを獲得したことで降格争いから脱出したスペイン、サモア、カナダの組み合わせで、プールCではフランス、アメリカ、ウルグアイ、ケニアが対戦する。

今季得点ランク首位はニュージーランドのRokolisoa

今シーズンの得点ランクのトップはニュージーランドのAkuila Rokolisoa選手だ。トライ31本を含めて301得点をマークし、2位はフィジーのWaisea Nacuqu選手で224得点、3位はオーストラリアのDietrich Roache選手とサモアのPaul Scanlan選手が199得点で並んでいる。

Rokolisoa選手の31トライは、アイルランドのJordan Conroy選手と並ぶ2位タイで、トライ得点ランクでトップに立つサモアのVaa Apelu Maliko選手に2本差だ。

アルゼンチンのMarcos Moneta選手が28トライで4位につけ、アメリカのPaerry Baker選手が27本を決めている。

アルゼンチンはトライ得点ではトップ20に5人がリスト入り。Moneta選手のほかにAgusutin Fraga選手(23本)、Matias Osadczuk選手(21本)、Rodorigo Isgro選手(20本)、Luciano Gonzalez選手(18本)で、チームのトライ総数は152本で得点能力の高さが示されている。首位はニュージーランドで198本だ。ちなみに、日本はここまでトライ数73本で1試合平均では1.7本で、チームの好不調が数字に出ている。

 シンガポール大会は4月8日、現地時間9:30からアルゼンチンとアイルランドのプールDの対戦で幕を開ける。初日のプール戦の結果を受けて、2日目の9日に決勝をはじめ、順位決定戦が行われる。