ワールドラグビーは本日、ワールドラグビーウェルフェア&競技規則シンポジウムにおいて、ラグビーにおける脳震盪の発見と管理の手助けとして最新のアイトラッキング技術を探究することを発表しました。

ラグビーという競技の中で、最新の科学と技術を評価し取り入れるという固いコミットメントを反映し、国際統括団体、ワールドラグビーは、試合を通じたパイロットスタディを行うため、アイトラッキング技術の先駆者である2社– EyeGuide およびNeuroFlex®  と提携します。

A photo showing the baseline using EyeGuide's eye-tracking technology. Photo: EyeGuide

この技術は 頭部損傷評価(HIA) の「シャドー研究」の一環として使用される予定で、この技術がHIAプロセス(エリートラグビーで92 パーセント正確に識別)を更に向上させることができるか測定します。また、6段階での段階的競技復帰プロセス でも使用し、損傷を患ったプレーヤーが競技へ復帰する過程を監視します。

最新の集計データでは、脳震盪発生時、または脳震盪を負った直後における眼球運動機能に変化が生じる*ことを示唆しており、様々な臨床環境で脳の健康を補助するツールとしてアイトラッキング技術がポジティブな可能性を持っていることが示されました。

ワールドラグビーのチーフメディカルオフィサー、Drイーナ・ファルビーは次のように述べました。「ラグビーにおける損傷の削減と管理における私たちのプログレッシブなアプローチでの重要な要素として、我々のスポーツの全てのレベルにおいて、プレーヤー保護を強化できる新技術を継続的に探究・評価しています。」

「NeuroFlex® と EyeGuide とのパートナーシップで行うアイトラッキングに関する研究は、ラグビーの環境における技術の客観的診断精度を測定し、ワールドラグビーの今後の脳震盪識別・管理戦略の改善に役立てることを目的としています。」

「ラグビーにおける眼球運動のスクリーニング検査は、プレーヤーの眼球運動の基準値とHIA評価時とを比較し、潜在的眼球運動異常を客観的に識別することで脳震盪の発見と管理をより改善する可能性を秘めていると信じます。」

EyeGuideのCEO、パトリック・カーニー氏も次のように述べました。「眼球運動機能は脳の健康に関する貴重な情報を提供してくれます。弊社のFOCUSTM プラットフォームは、眼球の動きに関する客観的データをわずか10秒で収集し、眼球運動スクリーニング検査を必要に応じて何度でも行うことを可能にしています。プレーヤーを健康面で継続的にモニタリングする上で、FOCUSTM のような高速かつ客観的な識別ツールへの支持と期待が高まっています。弊社はこの重要な研究でワールドラグビーを支援できることを名誉に思います。」

NeuroFlex® のチーフサイエンスオフィサー、ミミ・ガリアナ教授は次のように述べました。「弊社は、このような研究を通じ、エリートプレーヤー、そしてあらゆる年齢層のプレーヤーのウェルフェアの向上を目指すことに固くコミットしているワールドラグビーとパートナーシップを組むことを大変嬉しく思います。」

Image of NeuroFlex® eye-tracking technology. Photo: NeuroFlex®

「NeuroFlex® は画期的な技術であり、医療スタッフがVR(仮想現実)のアイトラッキングを活用することで、脳震盪や前庭疾患を客観的に診断、管理することができ、臨床的に認定された精度で機能を計測し、脳機能の障害を診断することができます。NeuroFlex® は、アイトラッキングと頭部運動に関する私の過去30年間の研究開発と、査読学術誌に発表した200を超える文献の結果開発された技術です。」

パートナーコンペティションに関する詳細については後日発表します。この他の重要な技術の探究を通じて、唾液中バイオマーカーや、ピッチサイドのHIA評価における映像を使った損傷識別など、革新的アプローチでラグビーの損傷予防への我々のコミットメントを推し進めていきます。

ラグビーのプレーヤーウェルフェアと医療プログラムに関する詳しい情報は playerwelfare.worldrugby.org でご覧ください。

* (2017) Echemendia RJ, Broglio SP, Davis GA, Guskiewicz KM, Hayden KA, Leddy JJ, Meehan WP, Putukian M, Sullivan SJ, Schneider KJ, & McCrory P. What tests and measures should be added to the SCAT3 and related tests to improve their reliability, sensitivity and/or specificity in sideline diagnosis? A systematic review. (SCAT3に追加すべき検査及び測定値、また副次的診断における信頼性、感度、及び/または特異性を向上させるための関連検査について。全体的評価。ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン、2017年)51:895-901.  

Photos: NeuroFlex® (main and bottom left) and EyeGuide (top right)