サモアのアピアパークで行われた試合は、後半雨に見舞われたものの、フィジー代表はこれをものともしません。Henry Seniloli選手のハットトリックなどで、38-16で見事勝利を収め、パシフィックネーションズカップ連覇を達成しました。
 
 前半を14-16のビハインドで折り返したフィジー代表でしたが、最終的にはサモア代表から5トライをあげて、サモア代表を1トライだけに抑えました。無敗で本大会を終了しました。
 
 先週末の試合で、フィジー代表はトンガ代表に僅差で勝ったことで、「オセアニア地区1」としてラグビーワールドカップ2019日本大会への出場を既に確定させてます。本大会ではオーストラリア代表、ウェールズ代表、ジョージア代表、アメリカ地区2(カナダまたはウルグアイ)と共に、プールDに入ることが決まっています。
 
 サモア代表が残されていた「オセアニア地区2」として予選突破するためには、フィジー戦で結果を残すことが必要でした。しかしながら、その目的は達成できず、トンガ代表がラグビーワールドカップ2019日本大会の出場権を獲得しました。トンガ代表は2年後の本大会でプールCに入り、イングランド代表、フランス代表、アルゼンチン代表、アメリカ代表と戦うことになりました。
 
 この結果、サモア代表は来年行われる、ヨーロッパ・オセアニアプレーオフへ進むことになりました。そこで勝つことができれば、本大会でプールAに入ることになります。
 
 なお、サモア代表が対戦するヨーロッパからのプレーオフ進出チームは今後決定します。チェコ代表またはポルトガル代表 対2018年ヨーロッパラグビーチャンピオンシップ2位チーム(出場権を既に得ているジョージア代表を除く)の試合で勝利したチームと、サモア代表は対戦することになります。その試合の勝利チームは「ヨーロッパ・オセアニアプレーオフ1」としてラグビーワールドカップ2019日本大会の出場権を獲得します。その一方で敗退チームは、他の地区予選の敗退チームと共に、敗者復活予選で最後の出場1枠となるプールBの「敗者復活予選優勝チーム」をかけて戦います。
 

テストマッチ4連勝

 フィジー代表はアピアパークでの試合で、開始早々にスクラムハーフであるSeniloli選手のトライ&コンバージョンキックでリードを奪います。しかしサモア代表も黙っていません。David Lemiキャプテンがトライを決めて反撃に出ます。
 
 Tusi Pisi選手のコンバージョンキックで7-7の同点に追いつきます。ここでフィジー代表は、フルバックTimoci Nagusa選手が鋭いカウンターアタックをします。Senioli選手がボールを受け取ってこの日2本目のトライを決めます。フィジー代表が7-14でリードします。
 
 サモア代表の激しいプレッシャーを受けて、フィジー代表はペナルティーを連続で犯してしまいます。サモア代表のPisi選手はPG を3本連続で冷静に決めて逆転に成功します。16-14というスコアでサモア代表がリードした状態で前半を折返しました。
 
 ハーフタイムに雨が降り出しました。後半に入るとフィジー代表が、サモア代表をワイドに分散させるプレーを展開します。この戦術と、雨でぬかるんだ足元が、見事に作用して、フィジー代表はSenioli選手, Jale Vatubua選手, Apisalome Ratuniyarawa選手がそれぞれトライを叩きだします。後半54分の時点で16-28。 Ben Volavola選手のキックも冴えていました。コンバージョン5本と1 PGで13得点を叩き出して、最終的には16-38というスコアでのフィジー代表の勝利に多いに貢献しました。
 

 悲喜こもごも

「素晴らしい勝利だ。控えメンバーの活躍が素晴らしかった。後半が効いた。パシフィックネーションズカップ連覇を誇らしく思う。これは我々のテストマッチ4連勝で、フィジー代表の記録だそうだ。」とフィジー代表John McKeeコーチ。
 
「ラグビーワールドカップ2019日本大会への出場も決まったので、これからはそれにむけたチーム強化に焦点を当てて取り組むことになる。我々は才能ある選手が集まったグループで、若手の台頭もある。このスコッドはもっと伸びると私は感じていて、RWC2019日本大会では、ベスト8入りを目指す。ラグビーワールドカップはとてつもなくハードな大会なので、これは挑戦的な目標だと分かっている。だが、我々は成功するためには、野心的でなければならない」と語りました。
 
 一方、サモア代表のAlama Ieremiaコーチは残念な結果に落胆を隠せず、月曜日に発表されるワールドラグビーの世界ランキングでも順位も1つ落としました。2003年の世界ランキング制度の導入以降で、過去最低である16位に下がることになります。
 
 Ieremiaコーチは「前半は良かったのだが、後半であまりにも多くのミスをしてしまい、フィジー代表に付け込まれてしまった。もちろん、フィジー代表は勝利に値するプレーをしたし、彼らを祝福したい。これは我々にとっては辛いレッスンになったが、サモア代表は若いスコッドなので、ここから学んで次の予選突破のチャンスに活かしたい」と述べました。
 
 
 今年2017年に残されているラグビーワールドカップ2019日本大会の予選としては、8月4日にクック諸島代表 対 タヒチ代表というカードで、オセアニアラグビーカップが開催されます。その試合の勝利チームは、来年2018年のアジアラグビーチャンピオンシップの優勝チームと対戦します。勝利したチームが敗者復活予選へ進出して、プールBの「敗者復活予選優勝チーム」をかけて戦います。