Dan Carter氏が、ロンドンのサイエンス・ミュージアムで開催された授賞式において、国際ラグビー選手会(IRPA)スペシャル・メリット賞を受賞しました。

女子ラグビーワールドカップ2025決勝の前日に行われたワールドラグビーアワードの一環として授与されたもので、Carter氏は「史上最も完成されたスタンドオフ」と広く評価される存在です。鋭い攻撃力、戦術眼、正確無比なゴールキックを兼ね備え、その華麗なプレーは観る者を魅了し、対戦相手にとっては脅威でした。

ニュージーランド南島のサウスブリッジクラブという小さな舞台からキャリアをスタートさせたCarter氏は、世界中でプレーし、数々のタイトルを獲得しながら真のグローバルラグビーアイコンへと成長しました。

受賞にあたりCarter氏は次のように語りました。

「国際ラグビー選手会スペシャル・メリット賞をいただけるのは大変な名誉です。私はこのような賞を得るために活動してきたわけではありませんが、これは私が現役選手としてラグビーに捧げた努力や献身、そして引退後に慈善活動を通じて人々へ恩返しをしたいという気持ちの積み重ねの証でもあります。本当に光栄です。」

この表彰は、国際ラグビー選手会と協力してロンドンのサイエンス・ミュージアムで開催されたグローバル女子ラグビーサミットのプログラムの一部として行われました。

世界的な功績

Carter氏はニュージーランド代表として通算1,598得点を記録し、今もなおテストマッチ最多得点記録保持者です。また、ワールドラグビー年間最優秀選手賞を3度受賞し、通算112キャップを獲得しました。ラグビーワールドカップ2度の優勝、9度のラグビーチャンピオンシップ制覇、そして2005年にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズを迎え撃った試合での活躍は、その名を不動のものにしました。

「キャリアで最も特別な瞬間は、5歳の頃に夢見たことが現実となった2003年、初めてオールブラックスのジャージーを受け取り、代表デビューを果たした時です。あの日の感覚は生涯忘れません。」とCarter氏は振り返ります。

クラブでの実績

クラブレベルでも、Carter氏はクルセイダーズで3度のスーパーラグビー制覇を達成し、同大会歴代最多となる1,708得点を記録しました。2009年にはペルピニャン、2016年にはラシン92をフランス・トップ14優勝に導き、2019年には神戸製鋼スティーラーズでリーグMVPを獲得するなど、世界各国で活躍しました。また、2016年にはニュージーランド勲章オフィサーに叙任されています。

引退後の取り組み

2021年に現役を引退して以降は、国際ラグビー選手会と協力し、選手のキャリア移行を支援するグローバル・ラグビー選手財団を立ち上げました。また、自身の「DC10基金」を通じて、ユニセフなどと協力しながら太平洋地域の子どもたちのために200万ニュージーランドドル以上を募金しています。

「ラグビーから多くを与えてもらったので、今度は自分が恩返しをしたいのです。恵まれない子どもたちを支援するDC10基金やiSport財団を通じての活動、そしてグローバル・ラグビー選手財団を通じて、現役を終えたラグビー選手たちが自分のキャリアを次のステージへつなげていけるよう支えることが、私の大きなモチベーションです。」

国際ラグビー選手会スペシャル・メリット賞は、過去にイングランドのVickii Cornborough、南アフリカのJohn SmitBryan Habana、アイルランドのJamie Heaslip、オーストラリアのStephen Moore、ニュージーランドのDJ Forbesらが受賞しています。