これらはアサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2025の事実であり、疑いようのない結果です。しかしそれは、ユタ州ソルトレイクシティで行われた壮大な決勝の日まで、開幕戦から観客を驚かせ、熱狂させ続けた大会のほんの一部にすぎません。
たとえば、フィジーがどれほどの苦労をして勝利をつかんだか、最後の20分で日本の猛攻に耐えながら必死にしがみついたか、ということは事実だけでは伝わりません。33-27というスコアラインはその接戦を示唆していますが、それだけです。日本が序盤20分で試合を支配したことも、フィジーが前後半にわたっておよそ30分間、華麗なランとオフロード、そして「どこからでも攻めるラグビー」を展開したことも伝わりません。
また、ハーフタイム前後に押し込まれたブレイブブロッサムズが、残り15分で1トライ差まで追い上げる見事なプレーを見せたことも伝わらないのです。さらに、ユタの高地で体力を消耗し切った両チームが、試合終了間際まで息をのむようなラグビーを続けたことも事実には残っていません。決勝戦は時に拮抗した接戦にはなりますが、単調で堅苦しいものになりがちです。しかし今回の決勝はまったく違いました。熱狂的で非常に大きな声援を送る観客の前で行われた、まさに宝石のようなスリラーでした。
事実だけでは、トンガとカナダの3位決定戦に込められた情熱も伝わりません。両国は昨年5位決定戦で顔を合わせています。
トンガのスタンドオフ、Patrick Pellegriniが挙げたハットトリックと25得点は、その激しい試合展開を物語りますが、試合の全貌を示してはいません。試合は一進一退を繰り返し、最終的にはカナダがトンガの守備を突破しようと猛攻を仕掛けました。Pellegriniの3本目のトライで35-24と差が開いた後も、Sea Eaglesのタックラーたちは強大な圧力の中で必死に踏ん張り、大会を最高の形で締めくくりました。
大会全体を振り返ると、事実だけでは語りきれません。カナダが開幕戦で格上のアメリカを破り、その勝利がフランス大会出場を逃した彼らにとって、2027年オーストラリア大会出場につながったことも、数字だけでは伝わらないのです。
数週間後、日本がサクラメントでアメリカに勝利し、Stephen Meehan率いるカナダが2027年オーストラリア行きを決めた瞬間のチームキャンプでの喜びの動画を見れば、その意味がいかに大きいかがわかります。
また、トンガがヌクアロファでサモアに30-16で勝利した開幕週の試合も、スコアはその事実を伝えるだけです。しかし、それが誇り高きラグビー国にとってどれほどの意味を持つか、そしてその後の結果が彼らにもワールドカップ2027出場権をもたらしたことまでは示していません。
そして再びユタの決勝日へ。事実ではすべてを伝えきれないもう1つの試合がありました。それは、ラグビーワールドカップ2027予選プレーオフ第1戦、サモア対チリ(スダメリカーノ2025準優勝チーム)の一戦です。
決勝がスリリングで、3位決定戦が魅力的だったとすれば、この試合はまさに壮大な背水の陣でした。サモアが前半を8-25で折り返した後、後半で反撃し32-32の引き分けに持ち込み、来週チリのビニャ・デル・マルで行われる第2戦にすべてを託しました。
事実は、選手やコーチ、ファンにとって勝利や敗北がどれほど大きな意味を持つのかを伝えてはくれません。事実は冷たく硬いものです。人生やスポーツ、そしてラグビーにおいて本当に知るべきことすべてを伝えてくれるわけではありません。
こうして今年のパシフィックネーションズカップは幕を閉じました。しかし来年もまた戻ってきます。そしてさらにエキサイティングに、さらにスリリングに、これまで以上に接戦になることでしょう。
カナダ主将Mason Fleschが3位決定戦後に語った言葉が、それをよく表しています。
「PNC全体が本当に成長しています。すべてのチームがより競争力を増しています。カナダやアメリカが、日本やフィジー、トンガ、サモアと毎年強力なチーム同士で戦えるようになっているのです。大会はどんどん良くなっています。」