トップリーグは昨シーズン、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて6節での打ち切りを余儀なくされたが、今季も当初予定された1月16日の開幕日直前にリーグ所属の複数のチームで多くの感染者が確認されことで、シーズン開始は5週間先送りとなった。そのため、開催期間は予定よりも短くなり、試合数を削減しての開催となったが、各チームは最後のトップリーグ優勝を目指してスタートダッシュを狙っている。

 大きな戦力として期待されているのが移籍加入した選手たちだ。中でも特に目を引くビッグネームは、サントリーのSOボーデン・バレット選手だろう。ワールドラグビーの年間最優秀選手賞を2度獲得した、ニュージーランド代表の司令塔だ。ラグビーワールドカップでも日本中を沸かせた2019年大会はもちろん、2015年イングランド大会ではオールブラックスの大会2連覇に貢献した。

三菱重工相模原ダイナボアーズとの開幕戦では、10番をつけて日本代表SH流大選手とペアを組むが、サントリーのミルトン・ヘイグ監督は、試合途中でSOからFBへシフトしての起用意向を示しており、開幕戦に限らず、試合の展開次第で異なるプレーが見られそう。

今季キャプテンを務めるCTB中村亮土選手はバレット選手について、「ラグビーのナレッジがすごく高いので、試合マネジメント、試合の運び方でチームにいい影響を与えている」と指摘した。

その一方で、中村主将はチームの意思疎通、共通理解を持ってプレーすることが重要だと強調。「しっかり全員で同じラグビーができるように準備したい」と話して、「チャンピオンの神戸に勝って優勝したい」と意気込んでいる。

その神戸製鋼コベルコスティーラーズは20218-2019シーズンを制覇。2020シーズンが中断で不成立となったため、ディフェンディングチャンピオンだ。FB/CTBベン・スミス選手とSOアーロン・クルーデン選手というニュージーランド代表で国際経験豊富な二人を獲得し、昨季から在籍する代表元同僚のLOブロディ・レタリック選手に合流した。

チームにはFB山中亮平選手やCTBファラエレティモシー選手、PR中島イシレリ選手ら2019年ワールドカップで活躍した日本代表勢やサンウルブズ経験者も多く、選手層は厚い。ポジション争いの激化で、チーム力アップにつながりそうだ。

トヨタのリード主将、新たな関係に期待

トヨタ自動車ヴェルブリッツには、オーストラリア代表主将のFLマイケル・フーパ―選手が加入。ニュージーランド代表で主将を務めたNO8キアラン・リード選手と豪華なバックローを形成する。

フーパ―選手は、東芝ブレイブルーパスとの開幕戦はリザーブスタートだが、トヨタの初優勝へ大きな戦力となることは間違いない。

今季トヨタで2年目となるリード選手は、フーパ―選手とプレーすることについて、「これまでずっと対戦相手としてプレーしてきたから、ちょっと不思議に見えるかもしれないが、うまくやれている。彼はプロとしてトヨタのラグビーに多くの価値を与えてくれる」と新たな関係に期待する。

NTTドコモ・レッドハリケーンズにも、オールブラックスSH/SOのTJ・ペレナラ選手と、2019年ラグビーワールドカップを制した南アフリカ代表の快足WTBマカゾレ・マピンピ選手が加わった。

マピンピ選手の代表同僚でLOのフランコ・モスタート選手は、かつてリコー・ブラックラムズに所属したが、グロスターでのシーズンを経て今回、ホンダ・ヒートでプレーする。

片や、NTTコミュニケーションズ・シャイニングアークスは、スコットランド代表主将を長年務め、正確なキックとパスワークが定評のSHグレイグ・レイドロー選手をはじめ、元オーストラリア代表FLリアム・ギル選手をリヨンから、マオリオールブラックスの経験もあるSOフレッチャー・スミスをハイランダーズから獲得した。

厚みを増したパナソニック

パナソニック・ワイルドナイツには、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでもプレーしたイングランド代表LOジョージ・クルーズ選手がサラセンズから、2019ワールドカップでもプレーしたウェールズ代表CTBハードレー・パークス選手がスカーレッツから加入。PR稲垣啓太選手やHO堀江翔太選手ら日本代表を多く擁するチームは、さらに厚みを増している。

一方、キヤノンは今季から日本代表やサンウルブズでコーチングスタッフを務めた沢木敬介監督が率いる。キャプテンを務める日本代表SO田村優選手は、「まだ理想には近づいていない。安定した力を出し続けることが大事」と語る。

同じく、日本代表主将のNO8/FLリーチマイケル選手を擁する東芝は、スーパーラグビーのクルセイダーズなどを指揮したトッド・ブラッカダーヘッドコーチ体制で、日野レッドドルフィンズは元日本代表主将の箕内拓郎ヘッドコーチの下での新たなスタートを切る。

また、今季限りでの引退を表明しているヤマハ発動機ジュビロのFB五郎丸歩選手、医学の道に進むパナソニックのWTB福岡堅樹選手は、ファンの前でプレーする最後のシーズンとなる。

トップリーグ2021シーズンは2月20日の開幕から4月11日までのレギュラーシーズンで、16チームが8チームずつ2つのカンファレンスに分かれて1回戦総当たりで対戦。成績に応じて、4月17日から行われるノックアウト方式のプレーオフ・トーナメントの組み合わせが決まる。プレーオフは、下部のトップチャレンジリーグ上位4チームを加えた20チームで争われる。決勝は5月23日に行われる。

昨シーズンが途中で打ち切られただけに、今シーズンは感染対策を図りながら、最後まで試合を全うしたいところ。加えて、今季の成績は来年1月から始まる予定の新リーグでのディヴィジョン振り分けに採用される。どのチームも、一層の力が入った熱い戦いを繰り広げるに違いない。