「トップリーグには日本だけでなく世界中から優れた選手が集まってきていて、本当に競争が激しい。新しいラグビースタイルで自分自身を試す機会になる。楽しみだ」

 そう話すのは、トヨタ自動車に加入したオーストラリア代表FLのマイケル・フーパ―選手だ。

 2012年に20歳で代表デビューを果たすと、2015年と2019年のラグビーワールドカップを含めて今日までに105キャップを獲得。所属クラブでは19歳でスーパーラグビーにデビューしたACTブランビーズや2013年からプレーしたワラターズでキャリアを重ねてきた。今回、初のオーストラリア外での挑戦となる。

 「トヨタでは全く違うチーム文化を学んでいるところで、とてもエキサイティングだ」と、開幕戦を数日後に控えてオンライン取材に応じたフーパ―選手は言う。

 日本を新たな挑戦の場に選んだ理由について、29歳のフランカーは「トヨタが最初に興味を持ってくれたチーム」だったと明かし、ワラターズ時代に縁のあったサイモン・クロン監督をはじめ、ニュージーランド代表で何度も対戦したNO8キアラン・リード選手や、トヨタでディレクター・オブ・ラグビーを務めている前ニュージーランド代表監督のスティーブ・ハンセン氏の存在に言及。彼らが日本代表のSH茂野海人選手やNO8姫野和樹選手(今季はハイランダーズでプレー)らと取り組んでいるチームづくりに、「自分も関わりたいと感じた」と話した。

加えて、日本中が盛り上がった2019年ワールドカップの体験も小さくなかったようで、「素晴らしかったことを覚えていて、もう一度日本で体験したいと思ったし、日本文化にも興味があった」と語った。

 だが、フーパ―選手のチームへの合流はコロナ禍の影響を受けて、当初の予定よりも時間がかかった。

昨年末に来日し、入国後2週間の待機期間を経てチームに合流する予定だったが、日本国内で感染者が急増。年明けの1月8日にはチーム内に感染者が出たことでチーム活動が自粛となり、フーパ―選手も自宅待機。シーズン開幕日も1月16日から2月20日延期となり、フーパ―選手のトヨタでの初練習は、スポーツセンターでの自主練習という形で1月18日から始まった。

「チームとの時間は長くないし、物理的にも近くにはいられなかった」とフーパ―選手はチーム合流後の時間の短さを認めるが、「でも、オンラインでのテキストやミーティングでのやり取りを通してコミュニケーションは取れていたから、フィールド外では準備ができていた」と指摘。それがチーム合流後の役に立っていると話す。

また、トップリーグのラグビースタイルについても、「ボールがよく動いてペースが速い。その点ではスーパーラグビーにとてもよく似ている。フィジカルより、セットプレーにフォーカスしたプレーという点でも楽しみ」と語り、馴染みやすく感じていることを示唆した。

NZL代表元主将から学ぶ

 トヨタでは、ライバルとして長年戦ってきたニュージーランド代表元主将のリード選手と味方として戦う。リード選手は茂野選手とともに今季、共同主将を務める。

 「キアランと一緒にプレーできることはすごく楽しみ。(代表戦では)ずいぶん負けてきたけどね」とフーパ―選手は笑い、屈託がない。

「彼は多くの成功を遂げてきたチームで活躍してきた素晴らしい選手。新しい環境で彼の近くにいることで、多くのことを学べると思っている」と、新たな関係性に期待を膨らませている。

 また、国際色豊かなチームのメンバー構成もフーパ―選手の興味を駆り立てているようだ。

「ここでいいなと思っているのは、南アフリカや日本、ニュージーランド、アイランダー系やオーストラリアと、出身が違っていても1つのチームとして機能するように取り組んでいること。とてもエキサイティングだと思う。」

来日後、コロナ禍で外出もままならない状況が続き、楽しみにしていた日本文化に触れる機会はこれまで限られているが、「今は僕もチームもラグビーにフォーカスしている」とフーパ―選手。その中で、余暇には本を片手に日本文化や日本食について知識を深め、家でパートナーとともに日本料理を作ることにも挑戦しているという。

 今季のトップリーグでレッドカンファレンスに入ったトヨタは、開幕戦で日本代表キャプテンのリーチマイケル選手を擁する東芝ブレーブルーパスと名古屋のパロマ瑞穂ラグビー場で対戦する。

 「とてもタフな試合になると思う」というプーパー選手だが、チームの勝利と成長に貢献したいと語る。

「勝つことがプランだが、それはどのチームも狙っている。いかに実戦して、シーズンを通してチームが成長できるかが大事だ。トヨタのみんなはフィットしていて、長い間トレーニングをしてきたから、ようやく始まるリーグ戦が楽しみでならない。」

 トップリーグ2021シーズンは2月20日に開幕。16チームがレッドとホワイトの2つのカンファレンスに8チームずつが分かれて、4月11日まで1回戦総当たりで対戦。4月17日からは下部のトップチャレンジリーグ上位4チームを加えて、合計20チームによるノックアウト方式でプレーオフトーナメントを戦い、優勝を争う。決勝は5月23日の予定だ。

来年1月の新リーグ発足に伴い、今季が最後となるトップリーグ。新たな戦力を得て、トヨタは悲願の初優勝を目指す。