昨年のラグビーワールドカップ日本大会後に7人制で東京オリンピックでのメダル獲得に挑み、その後はトップリーグでプレーした後に医師を目指すことに専念する。その意向は、福岡選手が以前から公言していた。それが新型コロナウィルス感染拡大の影響で東京2020大会が1年延期。その時間のずれは、福岡出身の27歳には大きかったようだ。

 「東京オリンピックの延期が囁かれ始めた時から、自分の中でどうするかは常に考えていた」という福岡選手は、大会延期が決まった時点で「この挑戦は辞退する」と決めていたと明かし、「オリンピックを目指すという挑戦を応援していただいていたファンの皆様、サポートして下さっていたチームやチームメイトには申し訳ない」と述べた。

そして、「自分の中で後悔したくない、後悔しない人生を生きたいという思いが強かった。一度決めた引退のタイミングを先延ばしにしたくなかった」と説明し、医学の道への志の強さを示した。

 福岡選手も出場した2016年リオデジャネイロ・オリンピックで、日本は過去最高の4位で終えた。その大会初戦となったニュージーランド戦を、福岡選手はセブンズで最も記憶に残る試合に挙げた。

だが、「オリンピックの舞台ではメダルを獲るか獲らないかは大きな差。(リオから)帰国後に実感させられた」と振り返り、それが「今回こそは必ずメダルを獲りたい」という東京大会への目標につながっていた。

 それが1年延期。昨年のラグビーワールドカップと今年のオリンピックを併せて一区切りと考えていたそうで、自分の計画を「簡単に後にずらすことはできなかった」と言う。

 オリンピックでもメダル獲得挑戦を断念して、「多少の悔いは残ると思っているが、自分自身が挑戦しなくても、残されたメンバーには素晴らしい選手たちがたくさんいる。彼らがきっとメダルを獲ってくれると信じて、僕は応援したい」と、チームメイトへ思いを託した。

 

7人制がもたらす変化

 自身は五輪挑戦を断念したが、福岡選手はオリンピックにセブンズ競技が加わった意義を認めている。

 「自分のように、オリンピック競技になったことで、その舞台を目指して7人戦にチャレンジする選手はたくさんいると思う。現状として7人制ラグビーは15人制よりも知名度は低い。日本中、世界中が注目する大きな大会で、その試合が行われることで、世間の注目も集まって、7人制を志す選手がより増える。ものすごく大きな意味があると思う」

 セブンズ競技そのものについては、「短い時間の中でスピーディーにゲーム展開が進む、短い時間で魅力あふれる競技。スーパープレーに触れる機会は15人制よりも多い」と指摘。 そして、セブンズを経験したことが15人制のプレーにも活きたと語る。

 「自分の中でプレーの選択の幅も広がったし、苦手だったスプリントを何度も繰り返す力も、7人制でのきついトレーニングで培うことができた。7人制に行ったことで、自分自身のプレーは大きく成長することができたと思っている」

東京オリンピックへ男子セブンズ日本代表を率いる岩渕健輔ヘッドコーチには、東京大会の延期が決定した段階で自分の決断を伝え、「応援すると言ってもらえて、この選択をする上で1つ後押しにはなった」と明かし、チームメイトからも引き留めや激励を受けて「それぞれ本当にありがたい、このチームを応援したいと思える言葉だった」と語った。

 

来季トップリーグで優勝を目指す

 15人制日本代表は昨年のワールドカップを最後にすると、日本大会終了時に表明しており、今回の7人制からの引退で福岡選手の桜のジャージ姿は見られなくなった。

しかし、ワールドカップ日本大会で4戦4トライの活躍で日本の8強入りに貢献した福岡選手は、パナソニックで来季のジャパントップリーグへの出場の意向を示している。

「パナソニックで優勝を経験していない。やるからには必ず優勝を目指したいし、自分としてもチームとしても笑って終えられるシーズンにしたい」

 パナソニックのロビー・ディーンズ監督は、「医学の道に進むために五輪に挑戦しない決断をする。この決断がどれほど難しかったかは我々も理解しており、彼の意思を尊重したい」とチームを通じてコメントした。

 俊足ウィングのパナソニックでのプレー継続について、オーストラリア代表監督も務めた指揮官は、「幸運なことに、もう一度福岡選手のプレーを見ることができる。パナソニックと彼のサポーターは、来年のトップリーグに福岡選手が出場してくれることを非常に楽しみにしている。良い形で医学の道へ送り出してあげたい」と述べている。

 福岡選手は、受験時期は明言を避け、現役引退についても「その時になったら自分から発信したい」としている。

今後は7人制の合宿に参加していた時間を勉強に充てることができるとして、「今まで以上に勉強にしっかりと比重をあてながら(ラグビーと)両立することができる」として、来季のトップリーグへ向けて「しっかりと準備をしていきたい」と語った。