初の8強進出を目指した日本代表。自国開催された2019年ラグビーワールドカップの第2戦で、その前に立ちはだかったのが優勝候補の呼び声も高かったアイルランド代表だった。

世界ランク9位の日本に対してアイルランドは2位。大会開始直前には世界1位に浮上して日本大会に乗り込んできた世界屈指の強豪に対して、日本は過去2度のワールドカップを含めて9度の対戦ですべて敗れていた。その相手に日本はいかに戦い、大会最高の番狂わせを演じて見せたのか。

 9月28日に静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われた歴史的な一戦が、Rugby World Cup FacebookWorld Rugby のYouTubeチャンネルで、5月5日(火)日本時間20:00(英国時間12:00)からライブストリーミング配信される。

プール戦最大の強敵

 ロシア代表に30-10の勝利を収めた大会開幕戦から1週間。日本代表は初戦独特の緊張からも解放され、プールAの最大のヤマ場と見ていたアイルランドとの対戦を迎えた。

 「経験値が高く、インパクトを与えられるリザーブが必要」というジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、初戦から先発4人を入れ替えてリーチマイケル主将をベンチスタートに変更。NO8にアマナキ・レレイ・マフィ選手、LOにトンプソンルーク選手、PR具智元選手、FBに山中亮平選手を先発で起用した。

 日本はキックオフ直前にWTBのウィリアム・トゥポウ選手が負傷で外れ、WTBレメキ・ロマノ・ラヴァ選手がリザーブから先発になり、初戦を負傷の影響で見送っていた福岡堅樹選手が急遽リザーブに入る変更を強いられていた。

しかし、桜の戦士たちはそんな影響も感じられない一体感を見せ、試合開始から冷静で忍耐強いプレーを展開し相手を追い詰めていく。

 アイルランドは日本の開幕戦から1日遅れの22日に大会初戦を戦い、スコットランド代表をノートライの27-3に抑え、日本戦で2勝目を狙っていた。

自慢のフォワード陣は初戦からそのままに、バックスを中心に先発を4人変更。負傷の影響で外れた代表85キャップのSOジョナサン・セクストン選手から、この試合が9キャップ目となるSOジャック・カーディ選手への交代や、今回が3大会目のベテランFBロブ・カーニー選手とWTBキース・アールズ選手、初戦のリザーブ出場でアピールしたCTBクリス・ファレル選手を先発起用していた。

田村選手、キック力を発揮

 アイルランドは従来とは異なるキックを使って日本の出鼻をくじく。カーディ選手からCTBガリー・リングローズ選手、カーニー選手へと巧みにパスを通し、2トライを決めて前半半ばまでに12-3のリードを奪った。

 しかし、日本は慌てることなく相手の攻めに対応。自分たちのペースを崩さずに攻撃を続けてペナルティを得ると、この試合で14得点を挙げたSO田村優選手が高いキック力を発揮。前半で3本のPGを成功させて3点差に詰め、後半の反撃につなげた。

 日本は試合途中にも負傷者が出るアクシデントにも見舞われたが、選手たちは動じることなく強さを見せる。

そして、後半開始から間もなくして、福岡選手が今大会初めてピッチに立つ。登場から10分、スピードスターの日本WTBにボールが渡ると、47,813人で埋まったスタジアムは大歓声と熱狂に包まれた。

 ジョセフヘッドコーチは、「自分たちのやってきたこと、やりたかったことを強い信念で示した。選手たちはよくやってくれた」と話し、アイルランド代表のジョー・シュミットヘッドコーチは「日本の見せたエネルギー、インテンシティ、スキルは素晴らしい。彼らはビッグチームだ」と日本を称えた。

 アイルランド戦で自信を得た日本は、その後サモア代表、スコットランド代表にも勝利してプール1位で準々決勝へ進出。優勝した南アフリカ代表に敗れたものの、自国ファンの前で目標を達成した。一方のアイルランドはロシア代表、サモア代表に連勝してプール2位で準々決勝へ進んだが、そこでニュージーランド代表に敗れて大会を後にした。