今季3戦目となった11月のテストシリーズ第1戦で世界ランク6位のイタリアとの対戦で、サクラフィフティーンの選手たちは、マッケンジー体制での初勝利まであと一歩に迫る戦いを見せた。

 イタリアとは、2017年女子ラグビーワールドカップのプール戦直後に行われた順位決定戦初戦で対戦し、0-22と敗れて以来の顔合わせ。2021年女子ワールドカップのアジア予選突破と本大会への活躍を念頭に強化を進めている日本チームは、この試合の先発で3人、ベンチスタートで2人の代表デビュー組を起用したが、「全員がとても良いプレーをした」と評価した。

ラグビー熱の高いイタリアのラクイアでの試合で、日本は試合開始7分で中央からバックスへ展開し、WTB葛西杏奈選手がトライを決めて好スタートを切った。

 雨の影響もあって思うようなポゼッションをとれないイタリアだったが、今年のシックスネーションズカップで2位に入った実力で持ち直し、22メートル内でプレッシャーをかけるようになると日本にファウルが増え、20分にはWTB谷口令子選手がイエローカードを受けて10分間の退場になった。

 するとイタリアはその間に数的優位を活かして攻め込み、23分にWTB Sofia Stefan 選手がラインを越えて同点に追いついた。

 日本は1人少ないながらもハードワークで守備固めを試みたが、イタリアは35分にバックスの展開からStefan選手が自身2連続トライをマーク。コンバージョンも決まってイタリアが12-5とリードを広げた。

 しかし、粘る日本は前半終了直前に、2017年アイルランド大会メンバーで「今回はスコアをしたい」と話していたPR南早紀選手が、ラックサイドから持ち出してラインを超えると、チームは10-12と2点差に詰めて前半を折り返した。

 後半開始から日本は3人を入れ替えてフレッシュな戦力を加えたが、イタリアが57分に再び日本を引き離す。左ラインアウトからモールで押し込みHO Lucia Cammarano選手が押さえて5点を加えて、17-10とした。

 粘る日本は、64分にPR加藤幸子選手のラインブレークからFL齊藤聖奈選手が受けて、ラインを越えて15-17とし、FB平山愛選手がコンバージョンを成功させて17-17の同点に持ち込んだ。

 その後、両者はともに追加点は奪えず、2年ぶりの対戦は引き分けに終わった。

 

キャプテンは守備に手応え

 マッケンジーヘッドコーチは、「イタリアは今年のシックスネーションズでもいいプレーをしていたので、自分たちもキレのある試合をする必要があるのは分かっていたが、今週チームで話していた守備のコミットメントだけでなく、ボールを持った時の積極的な判断が試合のリズムに出ていた」と評価した。

 さらに、先日のラグビーワールドカップで活躍した男子日本代表を引き合いに出して、「ブレイブブロッサムズにお礼を言いたい。我々の女子選手たちに、控えめになる必要などないという気持ちを植え付けてくれた」と話した。

 キャプテンを務めた南選手は、「ディフェンスにフォーカスしていた」として、「前半から出足の良いディフェンスでプレッシャーをかけることができた」と、テーマとしていたプレーの手応えを口にした。

 しかしその一方で、トライチャンスにしっかり得点に結びつけることができなかったとして、それで「勝利することができなかったので、悔しさが残る」と指摘。攻撃を課題に挙げた。「一週間後のスコットランド戦へ向けて修正してきたい」と語りました。

 また、女子イタリア代表のAndrea Di Giandomenicoヘッドコーチは、「この試合のインテンシティ(高い強度)にうまく対応し日本を称賛すべきだ。我々を難しい状況に追い込む場面もあり、我々は自分たちのラグビーを表現することに苦戦した時間帯もあった。しっかり振り返ってみたい。とはいえ、まだ長いシーズンの冒頭であり、今日の試合はチームとしての成長のプロセスだ」と語った。

今回のテストシリーズ第2戦は11月24日(日)にグラスゴーにてスコットランド代表と対戦する。

Photo: FIR