【東京・10月27日】ラグビーワールドカップ日本大会の準決勝でイングランドがオールブラックスに完勝した背景には、試合を通じて繰り返されたターンオーバーがあった。
横浜でのこのゲーム、イングランドは16回のターンオーバーを記録し、そのうち相手の陣地でボールを奪った回数は11。対するオールブラックスのターンオーバーは5回に過ぎなかった。イングランドの先発メンバー15人中、プレーヤーオブザマッチに選ばれたマロ・イトジェを含む11人ものイングランドの先発メンバーがターンオーバーのリストに名を連ねた。イトジェはゲーム最多となる3本のターンオーバーをものにしている。
こうしたターンオーバーによってイングランドは序盤のリードを守り切り、危険なエリアへのニュージーランドの侵入を未然に防ぐことができた。
試合時間が残り10分を切るまるでにオールブラックスがイングランド陣内の22メーターラインの内側に入ったのはわずか3度。そのうち2度はボールを持った選手がタッチラインの外に押し出されている。
A huge turnover from Mark Wilson to secure a penalty for @englandrugby
— Rugby World Cup (@rugbyworldcup) October 26, 2019
Just over five minutes to play in #ENGvNZL.
ENG 19-7 NZL
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イングランドは早々と訪れたチャンスをものにして奪ったリードを生かすことができた。オールブラックスと対戦する大概のチームが彼らの“トラップ”の餌食になる。試合の早い段階でチャンスが訪れるのだが、得点に結び付けられずにいると、反対に先制を許してリードを広げられ、気が付くと逆転はほぼ不可能な展開になっているのだ。
イングランドは2018年11月のテストマッチで、クリス・アシュトンが開始2分でトライを決めて先制し、25分までに15点のリードを奪ったものの勝利につなげることはできなかった。
0-15からオールブラックスは反撃に転じ、前半残り2分に5点差まで詰め寄ると、後半20分に16-15と逆転。そのまま逃げ切った。
26日のワールドカップ準決勝では、開始早々の先制点がイングランドに試合の主導権をもたらした。オールブラックスがまともにボールに触れる機会がないまま試合は動いた。
試合開始直後にハーフウェーライン付近から右サイドに展開すると、タックルをかわしたエリオット・デーリーからパスを受けたアンソニー・ワトソンが抜け出して敵陣22メートルの内側に侵入(下の動画)。
そこから今度は左サイドへと相手のディフェンスを揺さぶり、フォワード陣による連続攻撃でゴールラインまでおよそ5メートルへと迫る。
次のフェーズでラインまであと2~3メートルになったところでマヌ・ツイランギがわずかに空いたディフェンスの穴を突き、そのままインゴールに飛び込んでトライを挙げた。
このゲームでイングランドがマークした唯一のトライだったが、試合の序盤のテンポを決める重要なプレーとなった。
イングランドは試合開始からおよそ25分間、1年前のテストマッチと同じように試合を支配し続けた。ニュージーランド陣内の22メートルラインの内側に入った回数は7度に及んだが、トライによる追加点を奪うことはできなかった。ベン・ヤングズが奪ったかに見えたトライは取り消されている。
7-0というスコアでは、まだゲームをコントロールしているとは言えない。
ニュージーランドは後半17分にイングランドのラインアウトのミスを突いて1トライを返した。オールブラックスが22メートルラインの内側まで攻め込んだのはその時点でわずかに2度に過ぎず、そのトライ以外にイングランドのゴールラインを脅かしたアタックは皆無だったと言っていいだろう。
ニュージーランドのお株を奪ったかのようなレッド・ローゼス(イングランド代表の愛称)の試合運びだった。
RNS sdg/ar/mi