【横浜・10月26日】初優勝を狙うウェールズと3度目の優勝を目指す南アフリカがぶつかるワールドカップ日本大会の準決勝第2試合は、27日午後6時に横浜国際総合競技場でキックオフを迎える。

ラグビー界でも屈指のバックスとして名前が挙がるウェールズのフルバック、リアム・ウィリアムズと南アフリカの快速ウィング、チェスリン・コルビ。この2人が故障のため、残念ながら日曜日のゲームをスタンドから見守ることになる。ウィリアムズの大会期間中の復帰は絶望的。コルビは、チームメートが決勝へ駒を進めることに期待しながら足首のけがからの復帰を目指す。

ウェールズはフルバックにウィリアムズよりも守備的で経験豊富なリー・ハーフペニーを先発で起用。戦術的な変更があるかもしれない。

ウェールズのウォーレン・ガットランド監督は「おそらく蹴り合いになるだろう。南アフリカは日本戦で30回蹴っていたので、我々は対処しなければならない。世界一きれいな試合にはならない」と南アフリカのキッキングゲームを警戒。コルビの欠場については「トライを決める能力とフットワークがあり、彼らにとって大きな損失。いずれにしても(もし出ていれば)空中戦で標的にしていただろう」と話した。

両チームのテストマッチの歴史を振り返ると、ウェールズは1999年、35試合目にしてようやくスプリングボクスに対して初勝利を挙げた。いまだに南アフリカの地では勝ったことがない。

しかしここ6度の対戦はウェールズの5勝1敗で、直近の4試合はすべてウェールズが勝利。トゥイッケナムで行われたワールドカップ2015年大会準々決勝(写真)以来負けていない。

一方、2016年にテストマッチで8敗を喫したスプリングボクスはラッシー・エラスムス監督が就任して生まれ変わった。ラグビーに関する深い考察で定評のある元フランカーのエラスムスは、キックの持つ価値について知り尽くしている。

1999年大会で南アフリカ代表の一員だったエラスムスは、優勝したオーストラリアに準決勝で屈した。この試合の延長戦で奪われた決定的な6点は、48メートルの距離からスティーブン・ラーカムがキャリアで初めて決めたドロップゴールを含め、すべてキックから生まれたものだった。

就任以来エラスムスは、相手に脅威を植え付ける南アフリカのフォワードパックによるパワーゲームの伝統をよみがえらせただけではなく、フォワード陣と経験豊富なハーフ団とのコンビネーションを磨き上げた。

そしてウェールズのショーン・エドワーズ・ディフェンスコーチが「小型発火装置」と表現したバックス陣が躍動し、その中でも成長著しいウィンガー、マカゾレ・マピンピが今年に入り面白いようにトライを量産している。

今大会は初戦こそニュージーランドに敗れたものの、ここまでの道のりは順当と言える。近年の直接対決で優位に立ち世界ランキングでも上回るウェールズを相手にしても「優勢」との下馬評で決戦に臨む。

「世界一のチームに負けたことは分かっていたし4分間にトライを2本奪われた。集中力を欠いていただけだ」と指揮官はオールブラックス戦を振り返る。

「世界一のチームに負けた後で非常ボタンを押すようなことはしなかった。そのまま頑張り続けたことで、今は決勝へ進むためにいい位置にいる」と自信を見せる。

対戦成績

35試合 ― ウェールズ6勝、南アフリカ28勝、1引き分け

注目点

数年にわたってウェールズ代表のスターティングラインアップに真っ先に書き込まれる名前だったのがリー・ハーフペニー。攻撃面でひらめきをもたらすリアム・ウィリアムズの台頭によって15番のジャージーを譲ることになり、今大会も出番は限られていた。準決勝では相手からの多くのキックが降ってくることになるだろう。

ただハーフペニーはウェールズ代表84キャップ、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズでも3キャップを数え、そのポジション取りと堅実な守備で世界でも屈指のフルバックであることは確か。長い距離のペナルティーキックを蹴り込む能力も併せ持つ。1点差でフランスに惜敗した2011年大会準決勝で長い距離のキックをわずかに外した30歳が雪辱を果たせるか…。

「おそらく守備面では、空中戦やカバー範囲という点で世界一のフルバックだ。そもそもリーを先発で使ってリアムをウィングに回すべきかという議論も長い間行ってきた」とガットランド監督。

「リーはまず先発に入れていなかった時点で不運だった。リアムのようなワールドクラスの選手にとっては残念な状況だが、リーのような経験のある選手を迎えられることはうれしく思う」と期待を寄せている。

 スタッツ&トリビア

南アフリカのウィング、マピンピは2019年に行われたテストマッチ8試合で9トライをマーク。日本の松島幸太朗、イングランドのジョニー・メイと並ぶ数字を残している。今大会では、ウェールズのジョシュ・アダムズ、松島と並びここまで最多タイとなる5トライを挙げている。

RNS ig/js/sw/bo/mn/mi