【横浜・10月25日】3連覇を目指すニュージーランドとイングランドが対戦するワールドカップ日本大会の準決勝第1試合が26日の午後5時に横浜国際総合競技場でキックオフを迎える。

派手な前宣伝など必要のない、決勝戦のカードに残しておきたいような強国対決。イングランドのエディー・ジョーンズ監督は自らのチームをあたかも失うものは何もないアンダードッグ(弱者)であるかのように評する一方、オールブラックスをスポーツ史上最も偉大なチームと持ち上げる。果たして、実際の力関係はどうだろうか。

両チームともここ6試合で全勝。準々決勝ではともに記録的大勝を飾った。昨年11月の直接対決では16-15と1点差でニュージーランドが逆転勝ちを収めている。ただ、16年前までさかのぼると、16試合でオールブラックスの15勝と戦績は一方的。もしイングランドが勝つとなると、ラグビーの歴史に残る結果となり、ジョーンズの言葉もそれほど大げさには聞こえない。

ニュージーランドを率いるのはスティーブ・ハンセン監督。敵将ジョーンズが同国代表史上最高の監督と賛辞を浴びせる指揮官は、2007年大会の準々決勝で苦杯をなめて以来、W杯で負けなしの18連勝中のチームのかじを新たな高みに向けて取っている。準々決勝では、今年世界ランキング1位にもなったアイルランドを46-14で圧倒しその底力を見せつけた。ニュージーランドは、イングランドがW杯で唯一勝利を挙げたことがない相手でもある。

アイルランド戦で滑らかかつアイデアに富んだ攻撃を見せたバック3に加え、主将でナンバー8のキーラン・リード、ロックのサミュエル・ホワイトロックらのベテランが時計の針を戻したかのような若々しいプレーをみせた。ここ3カ月で30分しかプレー機会がなかったロックのブロディー・レタリックも本調子に戻っている。スタンドオフのリッチー・モウンガも好調を維持し、ボーデン・バレットをより自由に動けるフルバックに移した采配に口を挟むものは誰もいない。

ただ、オールブラックスは他のどのチームよりもイングランドを警戒しているようだ。イングランドは準々決勝でオーストラリアを40-16で撃破。ワラビーズにW杯最大の敗戦をもたらしたその実力についてホワイトロックは、「彼らはスクラムでもモールでもラインアウトでも非常に統制の取れたプレーができる上に、個々の力も素晴らしい。状況によってさまざまなプレーができる。どんなふうに来られても対応できるようにしておかなければ」と気を引き締める。

ジョーンズ監督は、指導者としてこれまでニュージーランドに対して5度勝利している。その中には、2003年W杯準決勝でオーストラリアを率いてオールブラックスを下した1戦も含まれる。その手腕に全幅の信頼を置く1人、イングランドのナンバー8のビリー・ブニポラは、「彼はいつでもどうすれば良いか分かっている。『公式』がある。エディーを信頼していいパフォーマンスを見せたい」と意気込む。

個々のマッチアップも見所十分だ。レタリックとマロ・イトジェのロック対決、モウンガとジョージ・フォードの両スタンドオフによる戦術的なキッキングゲーム、イングランドのウィング、ジョニー・メイの妙技とバレット(写真=昨年11月、トゥイッケナム)の才能など、楽しみは尽きない。

「ゲームが前評判通りに運ぶことを願おう。そうすれば世界中のラグビーファンだけでなく、初めて見る人にも『ラグビーは何て素晴らしいスポーツなんだ』というメッセージを送ることができる。長年語り継がれる試合なればいい」とニュージーランドのハンセン監督も期待を抱く。

注目点

イングランドを支える若いフランカーコンビ、トム・カリーとサム・アンダーヒル(2人の平均年齢は22歳と107日)。同じポジションで現在最強との呼び声が高いアーディー・サベアと相まみえる。ニュージーランドは、本来ロックを務めるスコット・バレットがブラインドサイドのフランカーとして先発する。

スタッツ&トリビア

W杯での直接対決はニュージーランドが3連勝中。イングランドにとってはW杯で勝ったことがない唯一の国となっている。

オーウェン・ファレルはイングランドの選手としてニュージーランド相手に最多得点(60)を誇る。2位はジョニー・ウィルキンソンの53得点。

ニュージーランドが準決勝に進むのはこれまでのW杯9大会中8度目。唯一4強に進めなかったのは、準々決勝で開催国フランスに敗れた2007年大会。

ニュージーランドのバレット3兄弟はここまで計54得点。三男ジョーディーが31点、長男ボーデンが13点、次男スコットが10点を挙げている。

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