【東京・10月20日】南アフリカと日本の準々決勝は、パワーゲームと素早くワイドに展開するラグビーという2つの異なるスタイルの対決となった。

日本が勝利するには、南アフリカのディフェンスをかく乱しなければならない。スプリングボクスのフォワード陣が縦横無尽にピッチを駆け巡る日本選手をチェースし続ける展開が必要だった。前半はそのゲームプラン通りのプレーで南アフリカにプレッシャーを掛けることができていた。

しかし、時間が進むにつれてプレーのスピードが落ちると、南アフリカがパワーでゲームの主導権を握った。

南アフリカの最初のトライは、日本をスクラムで圧倒した流れから奪ったもので、南アフリカのパワーと日本のスピードの対決というこのゲームの特徴をよく表したものだった。後半に入ってサブのメンバーが投入されるまで、日本はスクラムで全般的に健闘していたが、開始早々のトライに結び付いたスクラムの優劣は、この試合の展開を占う上で日本にとって不吉な予感をもたらした。

パワフルなスクラムがなぜ有効なのか?その理由の一つはディフェンシブなフォワード全員を巻き込むからだ。下のビデオクリップでは、田村優がブラインドサイドに位置している。ディフェンスが比較的弱い選手をプレーのアクションが起こりそうなエリアから遠ざけておくものだが、この状況ではそうなっていない。

田村はウィングに単独で位置しているが、この位置はディフェンス面で重責を強いられ、ブラインドサイドのフランカー、リーチマイケルとナンバー8の姫野和樹がサポートに入ることが想定される。しかし、いったん南アフリカがスクラムを回し始めると、リーチと姫野が巻き込まれたまま田村が孤立。そして彼のタックルはマカゾレ・マピンピを止めるには不十分だった。

 

日本はラインアウトとモールでも苦戦を強いられた。マイボールのラインアウトを5本奪われ、もう一つのビデオクリップでもわかるように、南アフリカは楽々とモールを支配した。

ルード・デヤハーが途中出場したフッカーのマルコム・マークスからのボールをキャッチ。最初の段階で南アフリカのモールは停滞するが、ピーターステフ・デゥトイが後方から加わると動き始める。

モールは動く方向が変わると防ぐことが難しい。日本選手がモールへの出入りを繰り返す一方で、南アフリカの選手は全員がボールの後方にしっかりとポジションをキープした。時折、3~4人の日本選手が南アフリカの前進を阻止していたが、それらのプレーヤーがモールへの出入りを余儀なくされると、モールは一気にスピードを増した。微妙な変化が日本ディフェンス陣のポジションチェンジを誘い、ずるずるとゴールライン近くへと押し込まれる結果となった。

日本は守備陣全員がモールに加わることはできなかった。仮にそうしたら、ファフ・デクラークがボールを外側に展開しただろう。スプリングボクスのモールが勢いを失うやいなや、マークスが飛び出し、2対1となった状況でフリーになったデクラークにオフロードパスを送りトライを奪った。日本の望みを断つ決定的な得点だった。

 

われわれは、魔法のようなフィジーのオフロードパスや日本のスピーディーなプレーが美しいラグビーだと考えがちだが、南アフリカが日本を圧倒したこのようなパワープレーもまた美しい。

南アフリカは準決勝でウェールズと対戦する。止めることができないように思えるスプリングボクスのパワーをウェールズがどのように受け止めるか楽しみだ。

RNS sl/sdg/mr/mi