【東京・10月1日】優勝候補アイルランドを下した歴史的な1戦で、逆転トライを挙げた福岡堅樹。試合2日前のメンバー発表では登録23人から外れていたが、ウィリアム・トゥポウのけがでベンチ入りが決まると、後半9分の投入から9分後に大仕事をやってのけた。「ここで終わったら一時的なもので終わってしまうと思う。掲げた目標に向けてやり続けるだけ」と念願のベスト8進出へさらに気合いを入れる。

大会前の9月6日、南アフリカとの親善試合で右ふくらはぎを負傷。当初はサモアとの第3戦(10月5日・豊田スタジアム)での復帰が濃厚だったが、1週早くピッチに立った。「早い段階で外にスペースがあるのは分かっていた。外からのコールで早くほしいと伝えていた」とボールを呼び込んでインゴール左隅へ飛び込むと、終盤にはピッチ中央でのインターセプトからトライライン直前まで敵陣を独走。あわやというところまで持ち込み「あそこは取り切って相手にボーナスポイントを与えず勝つことも大事だった。次の試合で同じような状況があれば走りきりたい」と反省しつつもさらなる活躍を約束した。

右脚の回復具合については「スピードはほぼほぼトップスピード。あとは練習した後とかの張りの部分でまだ95~6%かなと。これからの準備期間で100%に照準を合わせてやっていきたい」と手応えを話す。「まずアイルランドに勝つことができたという光栄な気持ちはあったけど、実際こうやって時間がたってみると、喜びがどうこうより案外すぐ次に切り替ることできた」とすでにサモア戦を見据えている。

2015年イングランド大会では、南アフリカに歴史的な勝利を収めた4日後のスコットランド戦に出場したが、出場はこの1試合だけ。日本は10-45で敗れ、南アフリカ、スコットランドと同じ3勝を挙げながら敗退した。1試合4トライ以上や7点差以内の敗戦で得られるボーナスポイントの差で涙をのんだ。4年前の二の舞を踏まないためにも、驚異のスピードを誇る「切り札」福岡の存在は欠かせない。

「もちろんまず勝ちにいく。その中でボーナスポイントは必ず考えないといけない。主将やリ-ダーが判断してくれることなので、自分たちは従うだけ」と自らにボールが集まる試合展開も予測する。

「ここで勝てるかどうかは、目標であるベスト8に入れるかどうかの大きな分岐点になると思う。(アイルランド戦勝利は)歴史的快挙と言われるけど、その後の試合がいかに大事かというのは、2015年を経験して、特に負けた試合に出場した身として、一番分かっている」と、背負っているものの重さを口にする。「前回と違ってより長い準備期間があるのも切り替えには良かったと思う」と試合間の休みがほぼ1週間確保されている開催国の利にも触れた。

前大会のチームと比べ「映像を見たり話を共有したりという点でもクオリティーが上がっている。ずっと準備を続けている。どこが大事な情報かピックアップする能力も上がってきている」と現チームを評価。「15年にあれだけ勝てたのにベスト8に行けなかった。どうしないといけないか、その時を経験している人はそこから学んでいるものも多いと思う」と自らを含めたW杯経験者の経験値の高さも自覚している。

初戦で3トライを決めた松島幸太朗から「僕の中でのフェラーリは福岡堅樹」と評された。「良い意味で言ったのかもしれないけど、燃費が悪いというのも一つあって」と笑いを誘いつつ「褒め言葉として受け取っているし、そう言ってもらったからにはスピードを生かしたプレーをしたい」とトライ量産を誓った。

RNS mn/kf